第壱夜 奇妙な話・奇怪な噺

 

 私は随分と以前から奇妙な話や奇怪な話が好きでして、クトゥルー神話を読んでは胸をは
ずませ魔界都市ブルースを読んでは心を奪われたものです。
 雰囲気の暗い本を読んで、可笑しな事を言ってるんじゃぁないよとお思いかもしれません
が、一方で竹本 泉氏のマンガを読んで心から笑い、蓬莱学園の小説を読んでは心を震わせ
ている私もいるので心配はありません(何の?)。
 これらの作品に共通するのは「納得させるだけの力を持った話のデタラメさ」だと思います。
 どの話もスケールがやたらと大きかったり、人知を超えるような力や技を持っている人物
が出てくるのですが、読んでいくとそんな大風呂敷でもしらけずに面白とい感じてしまうあ
たりは、作家さん方の力量でありましょう。


 先日、古本屋の中をふらふらと物色しておりましたら、一冊の漫画に目が止まりました。
 綺麗な字体と思わせ振りなタイトルのそれを手に取り、表紙を見ると私は思わず「ニヤリ」
とせずにはいられませんでした。
 表紙には「背広に刀を携え、眼には眼帯」という兄さんと、「羽織袴の井出達に四角い眼鏡
を掛け、足には草履」な兄さん、そして「ストレートの長髪に丸眼鏡。着物の帯を前で留め、
裾からちょいと手を出してキセルを吹かしている」姉さんが描かれており、背景には歯車やら
堤燈やら障子やらが添えてありました。 そしてタイトルに「宵闇眩燈草紙 弐」とあるのです。
(残念ながら「壱」の方は、まだ見つけていませんHP作成中に見付けました。^^;)
 これほど私のストライクゾーンを突いた表紙を見て、中身を見ずに帰る訳にはいきません。
そして中身は・・・これも見事にストライクでした。

 時代的には大正の頃なのでしょうか?表紙に描かれている三人が、奇妙な出来事に遭遇する
噺のようでした。全体に妖しげな陰を落しつつ、コミカルな展開を見せるので怖さよりも、奇怪
さの方が先に感じ取られて話が重苦しくありません。
 主役の内の二人がデタラメな力を持っている事もありまして、痛快さすら感じます。

伝奇好きな方、興味を持たれた方、御一読される事をお薦めします。

追記:可能であれば同氏の「仙人の果実」を先に読むことをオススメします。

戻る